塾長独言 〜学童保育型学習塾の週刊blog〜

2022年春に札幌市桑園地区に新規開設する学童保育型学習塾の塾長ブログです

人生観とキャリア教育

生涯学習」という考え方があります。

「人が豊かな人生を歩んでいくためには、生涯にわたり学び続けることが大切である。」

という考え方です。

 

2001年から2018年までは、”生涯学習政策局”という部局が文部科学省の筆頭局として位置付けられ、国の教育政策も基本的にこの「生涯学習」という考え方に基づいて進められていました。(2018年、生涯学習政策局は総合教育政策局に改編されました)

 

この、「生涯学習」という考え方。

日本では、”学校教育を受け終わってから”、どのように学んでいくのか、という議論に終始してきました。

学問上の定義では、学校教育も生涯学習の一環である、との考えが主流ではありますが、実際は、学校教育期間を終えた社会人が、何かの講演を聞いたり、何か習い事をしたり、スポーツクラブに入り活動したり、ボランティア活動をしたりなど、とにかく仕事外の学習体験のことを指してきました。

だから、日本の”生涯学習”の範囲は、もっぱら余暇活動の充実と、仕事をリタイアしたお年を召された方の社会参加についてのものでした。

 

しかし、欧米に目を向けてみると、この”生涯学習”の実態は、全く異なります。

欧米(特に北欧)では、手厚い失業手当てが保証されているため、失業をしても仕事が無い期間に学校に入り直して新たな資格を身につけ、次のステップアップに備えることが当たり前のように浸透しています。

日本では余暇や老後の時間を使った「趣味的」「生きがい的」な学びが生涯学習の中心であるのに対し、北欧では、職業のステップアップのために就労と就労の間の失業期間に学ぶ様々なことを「生涯学習」と考えているのです。

 

北欧では、「どのように生きるか」というキャリア観は、生涯をかけて形成されるものと考えられ(国や地域に関わらず、その考え方自体は当たり前のことですが)、実際にそのキャリア観の変化による転職とそのための教育の受け直しが容易いシステムも構築されています。

 

日本でも、転職をしてキャリアアップしていく人生が珍しくは無くなりました。

ひと昔前からは想像もできなかったほどの多様性が認められる社会の中で、多様な生き方が可能な社会になりつつあります。

子どもが成長していく過程で、あるいは成長して社会に出た時に、自分のキャリア観に合った生き方ができる社会は成熟しつつあるのに、一方で学校で行われる「キャリア教育」は、実際は進路指導の一環で、「学校を卒業したら、次はどの学校に進学するのか、あるいはどこに就職するか」ということに終始しています。

 

子ども達が、これからの社会を生き抜いていくために、様々な大人の様々な人生に触れながら育って欲しいと私たちは願います。

新たに開設する”学童保育型学習塾イデア”では、月に一度、まさに多様な仕事・生き方をしている大人たちを招いて、「キャリア講話」として子ども達に生の声を聞いてもらおうと考えています。

 

例え成績の向上には直結しなくても、多様なキャリア観を育み、学ぶ意義を実感してほしいと願っています。